ブログ
こんにちは!「みかわや」のゆう子です。
「振袖」と一口に言っても色々な種類があることをご存じですか?
友禅染めについては前回の【友禅編】をご参照ください。
「辻が花の振袖は…」
「辻が花はフワフワするから…」
売り場で当たり前のように聞く「辻が花(つじがはな)」
私は心の中で思っていました…
「辻が花ってなに?」と(笑)
今回は振袖の一大ジャンルでもありながら、
なんとなくしか知らない「辻が花」を解説いたします。
振袖選びの視点が少し変わるかも知れませんよ♪
POINT1 辻が花とは?
最大の特徴は「絞り染めを基調としていること」です。
友禅が糊を使って染料のにじみを防ぐのに対し、
辻が花は糸で縫い絞って染料のにじみを防ぎます。
糸の圧力で染料が生地に入るのを防ぐ纐纈(こうけち)と呼ばれるものです。
豊臣秀吉が帰国する明国の使者へ餞別として、
辻が花を贈ったという記録もあり、
友禅染めよりも古い時代の「定番」といえる技法でした。
「きもの=辻が花」という最盛期は安土桃山時代~江戸時代初期で、
友禅染めの発達から衰退の一途を辿ります。
輪ゴムで縛った絞り染めを想像してください。
染めて広げてみるまでどう染まるか分からないですよね?
単純に「絞りで複雑な絵柄を描くのは難しかった」のです。
勿論、縫い締め絞りや竹皮絞りなど高度な技法が使用されましたが、
絵画的な表現で友禅染めに遠く及ばなかったことが要因のようです。
POINT2 現代の辻が花とは?
江戸時代初期に姿を消し長らく忘れ去られていた為に、
現物や技法に関する資料は極めて少なく、
「幻の染め」とも言われている辻が花。
当時の物には、藤やつつじ、動物なども描かれていますが、
記号に近い抽象的でぼんやりと幽玄なデザインでした。
では、現在の辻が花とはなにが違うのでしょう?
戦後、染色工芸家・久保田一竹(くぼたいっちく)により復元され、
「新しい辻ヶ花ブーム」が起こりました。
その技法は、糊を置いて地色を染め、先に絵模様を描き染料をさしてから、
立体感を表現するために絞り(空絞り)を施すものでした。
本来の辻ヶ花とは手法が異なるため「一竹辻が花」と呼ばれています。
友禅の自由な表現で複雑な絵柄を描き、
立体感を生むことに特化した絞りの技巧を合わせ、
まさに良いとこ取りとも言える新しい手法です。
辻が花を見かけたら手に取って見てください!
柄に合わせたシワシワ・フワフワとした質感が特徴です。
その一つひとつが丁寧な手作業で絞られていると思うと、
また振袖を見る視点が変わってくるのではないでしょうか?
POINT3 インクジェット染色
【友禅編】でも書きましたが、
2,000年代に確立したインクジェットプリント。
プリンターで大量生産できるため、価格の安さが最大の魅力です。
明確に「辻が花文様」というものは存在しませんが、
霞掛かったような優しいデザインも「辻が花風」です。
これも見分ける方法はズバリ値段です。
「こんなに安いの!?」というきものは大抵「インクジェット」だと言えます。
インクジェットで染めたものに絞りを施したりと、
価格を抑えつつ辻が花の雰囲気を楽しめるのがメリットです。
POINT4 辻が花を選ぶ前に
「幻の染め」であり立体感が特徴の辻が花ですが、
どんな方に向いているのでしょうか?
メリット |
立体感のある独特な風合い(絞りならではの質感が高級感を醸します) |
幻想的でふんわりとした色味(絵柄は淡く可愛らしい染めが特徴です) |
伝統的なデザイン(古典的な花柄が定番のデザイン) |
デメリット |
ふっくらして見える(生地がフワフワしている分、ふくよかに見えてしまう) |
ぼんやりとした印象(コーディネートによっては、ぼんやりとしてしまう) |
THE成人式感(辻が花ブームが起きて久しいので、少しレトロ感がある) |
少し着太りして見えるのが一番のネックかも知れません。
逆に、高身長の方には流れるような豪華な絵柄がとても映えます!
地色や絵柄の量によって印象がガラッと変わるので、
お気軽にご相談ください!
POINT5 見比べてみて!
「友禅?辻が花?どっちがいいの?」と思ったら、
まずは見比べてみてください!
鏡の前で合わせてみると全然違うことに気付くはずです!
「派手かなと思ってたけど、ふんわりしててユメカワイイ!」
淡く幻想的な辻が花か、ハッキリクッキリの友禅か、
どちらを選ぶかは貴方の好み次第♪
みかわやは大多喜町・茂原市・東金市と広範に渡りご愛顧いただく老舗の呉服屋で、
年間200名以上の振袖コーディネートの実績があります!
辻が花から友禅、インクジェットまで幅広く取り揃えておりますので、
まずはお気軽に来店して触れてみてください!
見ているだけでは分からない「品質の違い」に驚きますよ!
※来店ケーキプレゼントがありますので、2日前からの来店予約がオススメです※
先輩方の写真を参考にしてみましょう!
それでは、貴方のご来店を心よりお待ちしております。
◇私が書いています◇
相談できる呉服屋みかわや ゆう子
安土桃山~江戸時代の人たちは「染めるために絞る」だったので、
仕立上がった辻が花のシワシワにアイロンをかけていたそうです。
400余年で価値観が真逆に変わっているのは面白いですね!